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毎日新聞、論点「夏の推奨温度は28度?」暑さ活用するまちづくり 富岡清・熊谷市長

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 本日(14日)の毎日新聞の、論点:「夏の推奨温度は28度?」に熊谷市長の発言が載っていました。「全国一暑い熊谷市」の見だしは何度目にしたでしょうか。(毎日新聞から転載)

 

夏の推奨温度は28度?

暑さ活用するまちづくり 富岡清・埼玉県熊谷市長

 平均気温は年々、高くなっているのだろうから「室温は28度のままでいいのか」「暑いのでは」と言われれば「そうかもしれない」という感じがしないでもない。しかし、市役所の設定は国の指針に基づいて28度にしている。

 熊谷で生まれ育った。小学生の頃は課題冊子「夏休みの友」に気温を付けていたが、「今日は30度を超えた。暑いなあ」と思っていたくらいで、熊谷が特段に「暑い町」という印象はない。

「暑さ」を意識しだしたのは2004年に全国的に猛暑に見舞われ、熊谷市で猛暑日が全国で最も多い28日を記録し、マスメディアに注目された頃からだ。翌年、市の対策「あついぞ!熊谷 ひとづくり支援事業」を始めた。それは夏の暑さだけでなく、市民の「気持ちの熱さ」「情の厚さ」も一緒に込めたまちづくり事業だった。

 ところが、07年8月16日、当時としては日本最高気温の「40・9度」を記録し、「日本一暑い町」というイメージが一気に広がった。全国的にも異常な暑さによる熱中症が深刻になった。「本格的な健康対策が必要」という意識が強まったのはこの頃だ。

 08年から市職員や市民挙げての暑さ対策が始まった。建物などに遮熱設備を設けたり、木陰を作るための植樹事業を始めたり。小学校ごとに観測機器を置いて各地域の熱中症指数が分かるようにし、健康管理を進めた。市職員の発案でいくつかの飲食店が熊谷のおいしい水から作った「貫目氷」を雪のような食感に仕上げたかき氷「雪くま」を始めた。今や「雪くま」は29店舗に増え、夏の名物になった。

 熊谷が毎夏、高い気温を記録するのは「人口が集中する東京のヒートアイランドから流れてきた放射熱と、日本海側から来てフェーン現象を起こした熱風がぶつかるため」とされている。ある時、東京都庁の幹部の方と名刺交換をした時に、「あの、暑い熊谷ですか」と言われた。「それは東京の熱が流れてきているのが影響しているんですよ」と説明すると、大変、恐縮されたことがある。

 暑さ対策を進める一方で、節電などのエコ対策にも取り組んでいる。特に11年の東日本大震災の影響は大きかった。電力不足に陥った関東は「計画停電」を経験した。それ以降、庁内の温度は28度にし、市長室の電気も普段は半分は消している。私は自宅ではゴミ出し担当だが、水分を切って出す。少しでもエコな生活を心がけるように市民にも呼びかけている。

「暑さ対策プロジェクトチーム」も毎年、いろんなアイデアを出してくれる。22カ所の公共施設に休息所「まちなかオアシス」を設けたり、駅の階段を涼しげなアートで飾ったり。今年は熊谷産の米から作ったこうじを使った甘酒をジェラートや和洋菓子などに使って販売を始めた。

 「日本一暑い町」として熊谷は全国に認知されたが、同時に、暑さに対する知恵を出すことでまちづくりを進めている。暑さを逆手にとって地域資源とする。気温を下げることはできないが、暑さに備え、活用することは知恵一つでできる。【聞き手・森忠彦】

 


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